レッドウィング ベックマンとは?特徴・歴史・旧型との違い・ソールまで靴修理店が解説

レッドウィング(RED WING)の**ベックマン(Beckman)**は、ワークブーツらしい堅牢なつくりと、クラシックなドレスシューズの上品さを併せ持つブーツです。
一般的なレッドウィングのワークブーツと比べて細身ですっきりとしたシルエットを持ち、デニムなどのカジュアルスタイルはもちろん、ジャケットやスラックスにも合わせやすいのが特徴です。
モデル名の「ベックマン」は、レッドウィング創業者**チャールズ・ベックマン(Charles Beckman)**の名前に由来します。
ベックマンには現在販売されているモデルだけでなく、過去に販売された旧型や「ベックマン フラットボックス」などもあり、使用される革や木型、ソールなどに違いがあります。
ここではベックマンの歴史から特徴、旧型と現行型の違い、製法、ソール、修理まで靴修理店の視点から解説します。
ベックマンとは
ベックマンは、レッドウィング創業者チャールズ・ベックマンの時代につくられていた靴から着想を得て開発されたシリーズです。
レッドウィング公式によると、「ベックマン・ブーツ」が登場したのは2007年。
19世紀中頃から20世紀初頭のアメリカ中西部では、英国のクラシックな紳士靴の雰囲気と、開拓時代に必要とされたワークブーツの丈夫さを併せ持つ靴がつくられていました。
ベックマンは、そうした時代の靴を現代に再現したモデルとして誕生しています。レッドウィング自身も「ミッドウエスト流のクラシックなドレスシューズ」と位置づけています。
ベックマンの名前の由来
「Beckman」の名前は、レッドウィングの創業者チャールズ・ベックマンに由来します。
チャールズ・ベックマンは1905年、アメリカ・ミネソタ州レッドウィングで地元の投資家たちとともにRed Wing Shoe Companyを設立しました。
つまりベックマンは、単に創業者の名前を付けたモデルというだけでなく、レッドウィング創業当時の靴づくりを現代的に表現したシリーズと考えると、その特徴が分かりやすいでしょう。
ベックマンの特徴
レッドウィングというと、アイリッシュセッターをはじめとする無骨なワークブーツを思い浮かべる方も多いでしょう。
ベックマンにもワークブーツとして培われた頑丈なつくりが採用されていますが、外観はよりクラシックでドレッシーです。
装飾を抑えたプレーントゥ、比較的すっきりとしたシルエット、ヒールのあるソール構成などによって、一般的なワークブーツとは違った上品さがあります。
「ワークブーツの丈夫さ」と「革靴の上品さ」を両立していることが、ベックマン最大の特徴といえるでしょう。
ベックマンの革
ベックマンを語るうえで重要なのがアッパーに使用される革です。
旧型ベックマンでは「フェザーストーン」と呼ばれるレザーがよく知られています。
一般的なワークブーツに使用されるオイルを多く含んだ革とは異なり、きめ細かく艶のある表情がベックマンのドレッシーな雰囲気を引き立てています。
一方、現在のベックマンには旧型と異なるレザーが使用されています。
たとえば現行のStyle No.9419には、**ブラックチェリー「エクスカリバー」**が採用されています。
そのため「ベックマン=フェザーストーン」と説明されることがありますが、これは主に旧型についての説明で、年代やモデルによって使用される革が異なる点には注意が必要です。
ベックマンの製法|グッドイヤーウェルト製法
ベックマンには、レッドウィングを代表するグッドイヤーウェルト製法が採用されています。
グッドイヤーウェルト製法では、アッパーと中底をウェルトと呼ばれる細長い革を介して縫い合わせ、さらにウェルトとアウトソールを縫い合わせます。
堅牢性に優れているだけでなく、靴底が摩耗した際にアウトソールを交換しやすいことも大きな特徴です。
そのためベックマンは、適切なメンテナンスと修理を行うことで長期間履き続けることができます。
ベックマンのソール
ベックマンの靴底について調べている方が多いのは、このモデルならではの特徴があります。
特に旧型ベックマンでは、前足部にラバーを使用したハーフソールタイプの構造がよく知られています。
革靴らしいヒール付きのシルエットを保ちながら、ラバーによって実用性を高めた仕様です。
ただし、ベックマンはモデルや年代によって仕様が異なるため、すべてのベックマンが同じソールというわけではありません。
旧型ベックマンで見られるソールの劣化

旧型ベックマンを長期間保管していると、
「ソールがベタベタする」
「靴底がボロボロ崩れる」
「久しぶりに履いたらソールが割れた」
といった症状が出ることがあります。
これは使用による単純な摩耗とは異なり、ソール素材そのものが経年劣化している可能性があります。
このような状態になると、接着などの部分補修では根本的な解決が難しく、ソール交換が必要になる場合があります。
「ベックマンのソールがボロボロになったから、もう履けない」と諦める必要はありません。
アッパーやウェルトなど靴本体の状態に問題がなければ、オールソール交換によって再び履ける可能性があります。
ベックマンはオールソール交換できる?
ベックマンはオールソール交換が可能なブーツです。
グッドイヤーウェルト製法でつくられているため、摩耗・劣化したソールを取り外し、新しいアウトソールへ交換できます。
元の雰囲気に近い仕様で修理するだけでなく、履き方や好みに応じて別のラバーソールへ変更することも可能です。
CRADLEでも、ベックマンをはじめとしたレッドウィングのオールソール交換に対応しています。
ただし、ウェルト、中底、アッパーなどの状態によって修理方法や修理の可否は異なるため、実物を確認してから判断します。
ベックマンとアイアンレンジャーの違い
同じレッドウィングのヒール付きブーツとして、ベックマンと比較されることが多いのがアイアンレンジャーです。
大きな違いはデザインです。
アイアンレンジャーにはつま先部分に一枚革を重ねた「キャップドトゥ」が採用され、ワークブーツらしい無骨な外観になっています。
一方のベックマンは基本的にプレーントゥで、よりシンプルです。
ベックマンは革の艶や細身のシルエットを活かしたクラシックな雰囲気、アイアンレンジャーはワークブーツらしい力強いデザインと考えると違いが分かりやすいでしょう。
ベックマン フラットボックスとは
ベックマンには**「ベックマン フラットボックス(Beckman Flatbox)」**と呼ばれるモデルもあります。
代表的なのがStyle No.9060です。
通常のベックマンとの大きな違いがつま先の構造です。
通常のベックマンにはつま先の形状を保つための先芯が入っていますが、フラットボックスには先芯がありません。レッドウィング公式でも、現行ベックマンには先芯があり、9060フラットボックスにはないことが説明されています。
そのため新品時には立体的だったつま先が、履き込むことで徐々に沈み込み、低くシャープなシルエットへ変化していきます。
この独特の経年変化がフラットボックスの大きな魅力です。
旧型ベックマンと現行ベックマンの違い
ベックマンは一度ラインナップから姿を消した後、新しい仕様となって再登場しています。
そのため中古市場などで見かける旧型と、現在販売されているベックマンを同じ仕様として考えない方がよいでしょう。
特に大きな違いが木型・革・ソールなどの仕様です。
現在のベックマンにはStyle No.9419、9422、9423がラインナップされており、いずれも224番ラストを使用しています。一方、9060ベックマン フラットボックスには8番ラストが使用されています。
現行ベックマンは従来のレッドウィングらしさを残しながら、よりすっきりとしたシルエットになっています。
現在のベックマン
現在レッドウィング日本公式サイトでは、通常のベックマンとして、
Style No.9419
Style No.9422
Style No.9423
の3モデルが掲載されています。
さらにStyle No.9060 ベックマン フラットボックスもラインナップされています。
ベックマンというひとつの名称でも、年代や品番によって革・木型・ソールなどが異なります。
中古でベックマンを購入するときや修理を検討するときは、「ベックマンだからこの仕様」と判断せず、品番を確認することが重要です。
ベックマンは修理しながら長く履きたいブーツ
ベックマンの魅力は、新品時の美しさだけではありません。
履き込むことで革にシワや艶が生まれ、その人の履き方によって少しずつ表情が変化します。
ソールが摩耗したからといって、それだけでブーツそのものの寿命とは限りません。
カカトの交換、ソール交換、ステッチの補修など、状態に合わせた修理を行うことで長く履き続けることができます。
特に旧型ベックマンの場合、現在では手に入れにくいモデルやカラーもあります。
「ソールがボロボロになった」
「カカトが減ってきた」
「中古で購入したベックマンを修理したい」
「別のVibramソールへ交換したい」
といった場合も、まずは靴の状態を確認してみることをおすすめします。
CRADLEでは、レッドウィングのベックマンをはじめ、ワークブーツのオールソール交換やカカト修理などを承っています。
お気に入りのベックマンをこれからも長く履きたい方は、お気軽にご相談ください。
CRADLEでの修理事例


