【靴づくりの縁の下の力持ち】ステッチとは?
靴を手に取ったとき、甲革やソールに見える“縫い目”のことを**ステッチ(stitch)**と呼びます。
見た目の装飾だけでなく、靴の強度や耐久性に直結する重要な役割を担っています。
ステッチの役割
- パーツ同士を固定する
アッパー(甲革)のパーツをつなぎ合わせたり、ソールを縫い付けたりするために用いられます。 - 強度の確保
靴は歩行時に常に曲がるため、糸でしっかり縫うことで革や底材の剥がれを防ぎます。 - 防水・防塵効果
製法によっては縫い目が雨や砂の侵入を防ぐ役割を果たします。 - 装飾効果
ブローグやモカシンなどでは、ステッチがデザインの一部として美しさを演出します。
ステッチの主な種類
1. アッパーステッチ
甲革のパーツ同士を縫い合わせる縫い目です。
- シングルステッチ:一本の縫い線。シンプルで上品な印象。
- ダブルステッチ:二本の平行な縫い線。強度が高くカジュアル寄り。
2. モカステッチ
Uチップやモカシンなどで見られる、甲部分の縫い目。手縫いで立体感を出すこともあります。
3. アウトソールステッチ(出し縫い)
中底・ウェルト・アウトソールを縫い合わせる縫い目です。グッドイヤーウェルト製法やノルウィージャン製法で見られます。
4. インステッチ(すくい縫い)
中底とアッパー、ウェルトを縫い付ける縫い目です。外からは見えず、靴内部で構造を支えています。
5. 飾りステッチ
実際にはパーツを縫い合わせていない、デザイン目的の縫い目です。キャップトゥやサドルシューズなどで見られます。
ステッチに使われる糸
- ポリエステル糸:耐久性・耐水性が高く、多くの靴に採用
- ナイロン糸:強度が高く、ワークブーツや登山靴に向く
- 麻糸:伝統的な手縫い靴で使われる。ロウ引き加工で耐久性アップ
ステッチと製法の関係
- グッドイヤーウェルト製法:インステッチ+アウトソールステッチの二重構造で丈夫
- マッケイ製法:アッパーからアウトソールまで一度に縫い付けるシンプルな構造
- ノルウィージャン製法:アッパーとソールを外側から太いステッチで縫い付け、防水性と耐久性に優れる
ステッチの劣化と修理
長年履くと、糸が擦り切れたり切れたりすることがあります。
特にアウトソールステッチが切れると、ソールが剥がれやすくなるため、早めの縫い直し修理が重要です。
修理店では出し縫い直しや手縫い修理で対応できます。
まとめ
ステッチは、靴の構造を支える「縫い目」でありながら、デザイン面でも大きな役割を持っています。
製法や糸の種類によって見た目や耐久性が変わり、修理やカスタムの際にも大きなポイントとなります。
お気に入りの靴を長く履くためには、革だけでなくステッチの状態にも注目してみましょう。
